第3話 特許異議申立制度の概要

 新たに導入される新・特許異議申立制度は、上記(1)①②③の点を除き、旧・特許異議申立制度とほとんど変わるところはない。

 表1に概要を示す。

表1

申立要件  申立人適格 ・何人も可能(113条1項)

 申立理由

・公益的事由(113条1項各号)

・請求項ごとに申立て可能(113条1項柱書)

 申立期間

・特許掲載公報の発行日から6月以内(113条1項)

・要旨変更補正の時期の制限(115条2項)
・取り下げ期限の制限(120条の4)

 申立手続

・特許異議申立書を特許庁長官に提出(115条1項)

・手数料は無効審判よりも低廉(195条2項別表11)

審  理  審理構造

・三人又は五人の審判官の合議体が審理(114条1項)

・書面審理(118条1項)
・共有者の一人の中断又は中止の効力(118条2項)
・参加制度(119条)
・証拠調べ及び証拠保全(120条)
・職権進行主義(準用する152条)
・職権探知主義(120条の2)
・複数の申し立ては原則併合(120条の3)
・手続の中止(準用する168条)

 審理手続

・特許権者 :意見書提出、訂正請求(120条の5)
・異議申立人:意見書提出(120条の5 5項)

 決定の効果

・維持決定は不服申し立て不可(114条5項)
・取消決定は出訴可能(178条)
・一時不再理はなし(167条準用せず)